カリタとメリタの違いはドリッパーの穴の数だけじゃなく傾斜角度の異なるが全く違ったドリッパーですよ。
すべては各メーカーの抽出概念の違いから由来するものです。
「D’s CAFE Style」のonoDです。
コーヒーを自宅で楽しもうと思ったらペーパードリップが手軽でコストも安くてなにより美味しいですよね。
この記事ではカリタとメリタと名前の似ているメーカーの、さらには形まで似ている扇形ドリッパーの違いについて比較しています。
比較的入手しやすい両社のドリッパーはコーヒーがドリップされる抽出穴の数の他にも、メーカー独自の抽出理論に基づいた性格の違いがあります。
扱いやすく個人の技術を必要としないという点で、コーヒー初心者におすすめするのは1つ穴の「メリタ式ドリッパー」ですね。
コーヒーで難しいとされるのはお湯の注ぎ方で、ドリップ速度の速いドリッパーの場合はお湯の注ぎ方ひとつでガラッと表情が変わります。
その点1つ穴のメリタ式ドリッパーはドリッパー自体がドリップ速度をコントロールしてくれるので、雑にお湯を注いだとしても仕上がりは安定しますよ。
この記事を最後まで読んでいただければカリタとメリタのドリッパーで仕上げられる”メーカーも教えてくれない美味しいコーヒーのドリップ方法”がわかるので是非最後まで読み進めてくださいね。
カリタ式とメリタ式の違いはドリッパーの穴の数と角度の違い
カリタとメリタの扇形(せんけい)ドリッパーの違いは「抽出穴の数」と「傾斜角度」に違いがあるよ。
各メーカーから多くのラインナップを展開している「円錐型ドリッパー」に比べると、横から見ると扇形(台形)の形をしている「扇形(せんけい)ドリッパー」の数は少ないよね。
その中でも日本とドイツの珈琲器具の老舗「Kalita(カリタ)」と「Melitta(メリタ)」のドリッパーはスーパーなどでも手に入るぐらい身近なもの。
カリタとメリタ、名前だけでなくパッと見ただけでは一見違いの分からない二社の扇形(せんけい)ドリッパーは
「コーヒーがドリップされる抽出穴の数の違い」
ということはコーヒーを嗜む方にとっては常識中の常識だから今さら確認するまでもないこと。
おそらくこの記事を読まれている方の多くは
「抽出穴の数以外にも違いはあるのか?」
ってところが気になるポイントだよね。
カリタとメリタ、両方のドリッパーを所有してるからこそわかる”違い”があるよ。
それが
「ドリッパーの傾斜角度の違い」
だよ。
両社の扇形(せんけい)ドリッパーを並べてみると
・持ち手の大きさ(カリタの方が大きい)
・ドリッパーの背の高さ(カリタの方が高)
あたりはすぐに気づくよね。
が、それぞれのドリッパーにぴったりフィットするペーパーフィルターを用意すると気づくことがある。
<カリタにメリタのペーパーフィルター、メリタにカリタのペーパーフィルターをそれぞれセット>
「あれ?ペーパーフィルターを交換するとフィットしないな。。。」
コレ、ドリッパーの傾斜角度が違うからぴったりフィットするように作られているペーパーフィルターをお互い交換すると”浮く”んだよね。
カリタにメリタのペーパーフィルターをセットすると窮屈な感じにがなって、メリタにカリタのペーパーフィルターをセットをするとスカスカになる。
両方のペーパーフィルターを重ねてみるとよくわかるけど、
<上:Melittaアロマジック、下:Kalita珈琲屋さんのコーヒーフィルター>
メリタのペーパーフィルターの方が傾斜角度がきつくなって一回り小さく見えるよね。
ペーパーフィルターがフィットするようにドリッパーが製造されているのか
ドリッパーにペーパーフィルターがフィットするように製造されているのか
どっちからかは知らんけど、ドリッパーの傾斜角度が変わっていることは間違いないよね。
ドリッパーの傾斜角度が変われば当然抽出穴に集中するコーヒーの量にも違いが出るよ。
傾斜角度がきつくなるとその分珈琲粉の層が高く積層(せきそう)されるからお湯と珈琲粉が接してる時間が長くなりやすい。
結果、濃いめのコーヒーがドリップされる。
逆もまたしかりで、傾斜角度がゆるくなると珈琲粉の層は薄くなる。
お湯と珈琲粉が接してる時間が短くなって軽めのコーヒーにドリップされやすいよ。
コーヒーをより美味しく楽しみたいなら、抽出穴の数だけでなくドリッパーの傾斜角度にも注目していこう。
カリタ式とメリタ式の淹れ方の違いは「抽出概念の違い」
カリタ式の抽出概念は「ネルドリップ」
メリタ式の抽出概念は「簡単・再現性」
コーヒーのドリッパーについて調べるとカリタ式やメリタ式などのように「○○式」って表現されることが多いことに気付くんだ。
「○○式」と表現されてるのは、それぞれの”抽出概念(思想)”に基づいたドリッパーを作っているからだよ。
抽出概念とドリッパーの組み合わせで「この淹れ方が美味しいですよ」という淹れ方を「○○式」と呼んでるんだよね。
抽出概念に基づいたドリッパーを作るからこそ、その時代によってドリッパーにも変化が出たりする。
例えば、ふじこめうどんさんのメリタ式とカリタ式のドリッパー比較で登場するメリタ式のドリッパーではリブ(みぞ)がドリッパー中段ほどまでしかないのに比べ、私の所有するメリタ式のドリッパーはカリタ式と同様に最上段までリブ(みぞ)が伸びている。
それぞれの各社が持つ抽出概念に基づいて微妙に仕様を変更することもあるよ。
(メリタ式ドリッパーは歴史を調べるとものすごく変化してるよ。)
そもそもペーパードリップとは、ドイツの「Melitta(メリタ)」創業者であるメリタ・ベンツさんが
~最愛の夫にもっとおいしいコーヒーを~
と、それまで布で濾して淹れる(ネルドリップ)のが一般的だったコーヒーを、より手軽に安定して楽しめるように開発されたのが始まり。
ネルドリップはやったことある人ならご存知のとおり、手入れの面倒さがある。
(そのかわり最上級のコーヒーが楽しめるんだけども。)
私個人は面倒と感じないから「ネルドリップは面倒なんかじゃない!」なんて記事も書いてるけども、ネル布を水で綺麗にして冷蔵庫で保管する煩わしいと感じる人が多いようだね。
ネルドリップに比べてペーパードリップは、挽いた珈琲豆をペーパーフィルターにセットしてドリップしたらペーパーフィルターを捨てるだけ。
ドリッパーも洗うのは簡単。
手軽くクリアなコーヒーが楽しめるのが魅力だよね。
ペーパードリップコーヒーを開発したのがドイツの「Melitta(メリタ)」だから、メリタ式はペーパードリップコーヒーの歴史そのものだよ。
メリタ式にはメーカー推奨される淹れ方に”他にはない特徴”がある。
【メリタ式】
1.1つ穴ドリッパーにペーパーフィルターをセットして杯数分の珈琲粉をセット
2.お湯を少量注いで30秒ほどむらす
3.お湯をペーパーフィルターの縁(ふち)まで一度に注いでドリップされるのを待つ
珈琲粉に少量のお湯を注いでむらし(珈琲粉にお湯を馴染ませてコーヒーを抽出する準備をすること)をするのはペーパードリップコーヒーではごくごく当たり前だね。
が、むらしの後に「一度に必要分のお湯を注いでドリップされるのを待つ」というのはメリタ式ならではだよ。
コーヒーのドリップで一番難しいのはお湯を注ぐことだけども、メリタ式なら誰でもいつでも安定したクオリティのコーヒーが楽しめるね。
そして日本のカリタ式はというと、喫茶店文化が元になっていることでネルドリップの流れを受け継いでいるよ。
【カリタ式】
1.3つ穴ドリッパーにペーパーフィルターをセットして杯数分の珈琲粉をセット
2.お湯を少量注いで30秒ほどむらす
3.お湯を5~6回に分けて注いでコーヒーがドリップされたら出来上がり
メリタ式と違うのはむらし後にお湯を複数回に分けて注ぐところだね。
お湯の注ぎ方には個人差が出やすく、個性の出る淹れ方ってことだね。
昔ながらの喫茶店でよくある「ネルドリップ」は、お湯の注ぎ方によって全く異なるコーヒーに仕上がる。
同様に、ペーパードリップでお湯を複数回に分けて注ぐとやはり個人差の出る仕上がりになるんだよね。
こういった”抽出概念(思想)”が異なるがゆえに、ドリッパーづくりにも違いが出るし当然ながら仕上がるコーヒーの味にも違いが出てくるよ。
カリタ式とメリタ式の違いによるコーヒーの味の違い
カリタ式とメリタ式でメーカー推奨の淹れ方でそれぞれコーヒーを淹れてお互いで比較すると
カリタ式:軽めの味になる
メリタ式:濃いめの味になる
といった違いが出るよ。
あくまでカリタ式とメリタ式で比較した場合だけどもね。
【カリタ式のコーヒーの味】
カリタ式ドリッパーは抽出穴が3つあることに加えてドリッパーの傾斜角度が広い。
傾斜角度が広いということは同じ量の珈琲粉をセットした時に珈琲粉の層が薄くなるということで、その分コーヒーのドリップ速度が速くなるよ。
ドリップ速度が速いということは雑味が出にくくバランスの取れたコーヒーの味に仕上がりやすいんだよね。
複数回に分けてお湯を注ぐということは、お湯の注ぎ方によって表現できる味の幅が広いってことでもあるよ。
その代わり、コーヒーを淹れる人の腕によって味が大きく変わるってことでもあるけどね。
【メリタ式のコーヒーの味】
メリタ式ドリッパーは傾斜角度の狭い(珈琲粉の層が厚くなる)1つ穴が特徴的。
珈琲粉とお湯が接している時間が長くなるから濃いめのコーヒーになるんだよね。
むらしの後に一度にお湯を注ぎきってしまうからいつでもだれが淹れても安定感のあるコーヒーを仕上げやすいよ。
そのかわり、コーヒーの華やかさはカリタ式に比べると抑えめで珈琲豆本来の良さも悪さも顕著に表れる。
良い珈琲豆を使えば美味しいコーヒーが手軽に楽しめるけども、悪い珈琲豆を使えば如実にエグみや雑味が出やすいから注意してね。
カリタ式ドリッパーでメリタ式の淹れ方をすると「抜けたコーヒー」
傾斜角度が広くて3つ穴のカリタ式ドリッパーでメリタ式のむらしの後に一度にお湯を注ぎきる淹れ方をすると「抜けたコーヒー」になるよ。
ドリップ速度が速いドリッパーでお湯を注ぎきっちゃえばそりゃそうなるよねって話だね。
抜けたコーヒーってのはコーヒーの美味しさが引き出せずに珈琲豆の表面だけをドリップしてる感じかな。
良い珈琲豆を使ってものっぺりとして味に立体感がなく、物足りないコーヒーになる。
お湯を一度に注ぎきる際も珈琲粉の中心だけにお湯を注ぐとより抜けたコーヒーになるから要注意だよ。
一度にお湯を注ぎきる淹れ方はドリッパーによってドリップ速度をゆっくりとコントロールされる。
1つ穴メリタ式ドリッパーだからこそできる淹れ方なのかもしれないね。
コーヒー初心者におすすめ!メリタ式ドリッパーでカリタ式の淹れ方で「簡単美味しいコーヒー」
傾斜角度が狭く1つ穴のメリタ式ドリッパーでカリタ式のむらしの後複数回に分けてお湯を注ぐ淹れ方をすると「立体感があって華やかな美味しいコーヒー」に仕上がるよ。
コレ、かなりおすすめ。
特にお湯の注ぎ方で困りながらどんなドリッパーを選んでいいかもわからないコーヒー初心者は、メリタ式ドリッパーに複数回に分けてお湯を注ぐことから始めるべきだね。
メリタ式の一度にお湯を注ぎきってドリップされるのを待つ淹れ方だと、コーヒーの華やかさや立体感を表現しにくい。
そこで複数回に分けてお湯を注ぐことで珈琲豆の奥に眠る成分まで抽出出来て表現の幅がぐっと広がる。
1つ穴でドリップ速度がゆっくりなメリタ式のドリッパーなら、多少雑にお湯を注いでもドリッパー側がコーヒーの抽出をコントロールしてくれるから失敗も少ない。
珈琲粉に適切にお湯を注ぐ練習にもなって一石二鳥だよ。
参考になるかどうかは分からないけども、カリタ式で2分20秒で150ccドリップできるお湯の注ぎ方でメリタ式ドリッパーだと2分40秒で150ccだったよ。
実に20秒もドリップ時間が変わるんだよね。
その辺りも含めてコーヒーのドリップ時間による味の変化を自分の舌で実感するためにもちょうどいいね。
扇形(せんけい)ドリッパー選びに迷ったらまずは1つ穴のメリタ式ドリッパーを選ぼう。
プラスチック製と陶器製がラインナップされていて、陶器製の方が高級感があって所有欲は満たされるよ。
プラスチック製ならではの要素として、一度にお湯を注ぐ目安があるからお湯の注ぎ方もメリタ式で楽しみたいならプラスチック製の方がやりやすいかな。
もちろん3つ穴のカリタ式ドリッパーも素晴らしいドリッパーだけども、お湯を注ぐ練習をしないと狙ったコーヒーの味を表現するのは難しいかもしれない。
あと、カリタ式ドリッパーにフィットする同社から出てるペーパーフィルターは紙臭い事でも有名。
カリタで揃える場合は珈琲粉をセットする前にペーパーフィルターにお湯を注ぐ「リンス」をした方がしっかりとコーヒーを楽しめるよ。
それでは本日も素敵なコーヒータイムを。
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